2023年上半期に読んだ良かった本
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ファイトクラブ
有名な映画の原作。この作品をきれいに映像化してるのすごいなと思った。 内容は基本的に映画と同じだが、ラストが違う。
消費社会云々は今更言うまでもないというような時代だが、昔はこれだけ反骨精神あふれる作品があったんだなあと感じる。 社会風刺とか以前にお話も良い。
「待つ」ということ
タイトル通り、待つということについて考えるだけの本。
哲学寄りの人かと思ったら臨床をやってる人が書いたらしい。 病、解決不可能な物事の解決を待つ行為について思いを馳せられる。
地下世界をめぐる冒険
地下に取り憑かれた冒険家のエピソード集。 様々なエピソードが語られているが、洞窟の描写には古典や聖書からの引用が多く、地下の神秘が感じられる。
都市冒険家ってかっこいいなと思った。すぐ足元に未知の世界。
クィア・サイエンス
どのようにして同性愛は生まれるのか? という問いに対して最新の科学の知見をまとめた本。
様々な調査を統計的に処理して説明を試みている。 歯切れのよい結論出すのではなく、現状言えることだけを丁寧に述べる姿勢に科学への真摯さを感じる。また、確からしい結論を出すことの難しさがわかる。
また、一昔前の同性愛の滅茶苦茶な歴史や、現代における科学と政治についてなど、科学以外の側面も扱っている。 一つの事実も扱い方次第で様々な結論に着地させられる。政治においてはそれが各々の陣営に都合よくりようされてしまうが、そもそも科学と文明、文明を運営する政治、複雑な事象との向き合い方などぐるぐると考えてしまう。
黄金虫変奏曲
かつて遺伝暗号の解読を成し遂げたスチュアート・レスラーがなぜ科学の最前線から身を退けたのか? 4種類の塩基から人間の愛までを描く大作。
ちょっとした会話描写も歴史から科学まで様々な分野の知識を用いて巧みに用いられていて痛快。 生命の神秘の最奥、ただ突然変異と自然淘汰、数多の変奏を繰り返すだけの物質としての生命を捉えながら4人の男女の恋愛劇を描き出す。
音楽に対する理解がもっとあれば更に楽しめたんだろうなと思うと惜しい。のでソルフェージュに興味を持ち始めた。